筋肉貯金(貯筋)=筋肉モリモリ???
■真の筋肉貯金(貯筋)は、筋肉モリモリではありません
筋肉貯金(貯筋)とは、
加齢により衰えていく筋肉を蓄える(貯金する)こと
です。
字から解釈すると、
筋肉モリモリにすればするほど筋肉貯金(貯筋)できたことになる、と思うかもしれませんが、本当の意味は違います。
もし筋肉モリモリにすることが筋肉貯金(貯筋)ならば
女性は不利になってしまいます。
実際は男女どちらも同じように筋肉貯金(貯筋)することは可能で、有利不利もありません。
では、真の筋肉貯金(貯筋)とは?
■真の筋肉貯金(貯筋)は、アリとキリギリスの話の、アリになること
筋肉貯金(貯筋)する目的は何ですか?
それは、若い頃の生活習慣によって
将来困らないように準備をしておくことです。
アリとキリギリスの話の、アリになることです。
「将来困らないようにする」の、困らないこととは色々あると思いますが、
高齢になってから一番困ることの1つは、
自分の足で移動できなくなり、他人からの介護が必要になることではないでしょうか。
それはできるだけ避けたいと誰もが思うでしょう。
筋肉モリモリで力が強ければそれが自慢になって、得することもあるかもしれません。
でも高齢になってから重要なのは力の強さでもなく見た目の筋肉のすごさでもなく、移動能力です。
つまり、
若い頃と同じように
筋肉(特に足の筋肉)を使える状態をできるだけ保つこと
が、真の筋肉貯金(貯筋)です。
筋肉量を増やすことが最重要なのではないのです。
※筋肉量が明らかに少ない人は、筋肉をつけることも意識した方が良いでしょう。筋肉量が中等度以上の人ならば、(さらに増やすことを意識しても良いですが)その筋肉を使って移動できる能力が衰えないように意識した運動をしましょう。
具体的には、ウォーキング等の運動を効率よくやることが、筋肉貯金(貯筋)に有効です。ウォーキング方法は後述します。
■筋肉貯筋(貯筋)をしないで高齢になると・・・
今までに大きな怪我や病気をしたことがない人ならば、速く歩けなくてもゆっくりなら歩けるでしょう。
そのような人が筋肉貯金(貯筋)をしないでいたら、将来
速く歩けない
→歩くのがさらに遅くなる
→杖歩行になる
→車椅子が必要になる
→寝たきり
という経過をたどる可能性が高くなります。
すでに昔よりも歩行速度が落ちている場合は、
ゆっくり上記の経過をたどっている可能性があります。
高齢になるのはまだまだ先で、歩くのは遅いけど現在の生活に支障ないから大丈夫、
と思っていてはいけません。
そのような気持ちでいると、間違いなく上記の経過をたどり、
子供たちや若い世代に(介護などで)迷惑をかけることになります。
今からでも移動能力低下防止のための筋肉貯金(貯筋)をすれば、要介護の予防可能なのです。
また、年をとっても自分の足で移動できる状態をキープしたい、ということ以外に、
「認知症になりたくない」
と思っている人も多いのではないでしょうか。
ちなみに、運動習慣があれば筋肉貯金(貯筋)するのに役立つことは分かると思いますが、運動習慣が認知症を予防することも明らかになっています。歩くのが速い人は認知症になりにくいことも最近の研究でわかっています。
■ちょっとした動作を面倒くさがっていたら、絶対に筋肉貯金はできない
移動が車ばかりだったり、階段を使わなかったり、歩幅の狭い小刻みな歩き方をしていたり、
・・・
このように生活すればとても楽ですが、楽した分将来の早い移動能力低下に直結するのです。
今、楽をすると将来は
アリとキリギリスの話のキリギリスになってしまい、
今、筋肉貯金(貯筋)をすれば将来は
アリとキリギリスの話のアリになれます。
■筋肉貯金をするのに、どんな歩き方をするかが非常に重要
「車移動を減らして歩数を増やす」「階段を積極的に使う」
などはすでに実行している人は多いと思います。
もう一つ重要なのは、歩き方です。
1日2万歩歩いていたとしても、
小刻みな歩幅の狭い歩行なら、効率よい筋肉貯金(貯筋)ができません。
また、ダイエットしたい場合も、その歩き方だと歩数が多いことで運動した気になれるかもしれませんが、動いている割にはダイエット効果が出ません。
一番重要なのは歩数ではありません。
重要なのは、
歩き方と時間
です。
自身の著書で説明している、
「股関節ウォーキング」
を実行することが重要です。
膝下を使う小刻み歩行よりも、太ももをスイングした歩幅の広い歩行を意識しましょう。太ももを動かすには、股関節を使う必要があります。
高齢になって小さな段差につまづきやすくなるのは、太ももが動かないために足が上がらないからです。
太ももという大きな筋肉を動かせば、足が上がってつまづきにくくなるし、大きな筋肉を動かせばたくさんの燃料を消費できてダイエットにも役立つのです。
太ももを大きく上手く動かす習慣をつけることが、将来の移動能力低下に役立ちます。
太ももの筋肉を筋トレで鍛えるのも良いですが、その筋肉を上手く使う訓練をすることが最高の筋肉貯金(貯筋)なのです。
ただし、繰り返しますが筋肉量が少ない人は、筋トレも積極的にした方が良いでしょう。