漢方薬の面白さと不思議・誤解
今回は(西洋薬にはない)漢方薬の面白さと不思議・誤解についていくつか説明します。
①漢方薬は、添付文章には書いていないたくさんの効能がある
処方してもらった漢方薬を後から調べたら、「自分の症状に合った効能が記載されていない!!」という経験をされた方はいると思います。添付文章の効能は一例であって、書いていない効能があることもあります。例えば、頭痛で漢方処方してもらったのに、効能には頭痛改善と書いていない等です。漢方に詳しい先生ほど、その様な処方をすることが多くなります。
②年齢・性別・症状が全く同じAさんとBさん
→Aさんに効く漢方薬をBさんが内服しても全く効かない。逆に、Bさんに効く別の漢方薬はAさんには効かない
これは同病異治(どうびょういち)といって、字の通り同じ症状でも効く漢方薬が違うということです。
③年齢・性別・症状が全く違うCさんとDさん
→全く違う二人なのに同じ漢方薬が効く
これは異病同治(いびょうどうち)といって、字の通り違う症状でも同じ漢方薬が効くということです。
④女性の三大漢方薬:当帰芍薬散・加味逍遥散・桂枝茯苓丸は男性にも処方できる
上記の漢方薬は女性に多く処方される漢方薬です。
男性にも処方できることは知っておいてほしい内容で、実際に処方して大変良かったこともあります。
処方した後になんで婦人科の薬を出すのか?と誤解されないように、知っておいてもらいたい内容です。
⑤抑肝散=認知症の漢方薬ではない
これも④と同様に知っておいてほしい内容です。高齢者で認知症に対し抑肝散を処方される例は多く、抑肝散=認知症の漢方薬と思っている方は多いようです。
意外に思えるかもしれませんが、もともとは小児用の漢方薬だったのです。小児から高齢者まで、幅広い年齢層で使えます。
若い人に処方した後に、何で認知症の薬を処方するのか?と誤解されないように、知っておいてもらいたい内容です。