合わない漢方薬が・・・実は合う話
■漢方薬の副作用???
ある漢方薬を内服したら、
体中にブツブツが出た
熱が出た
下痢した
だるくなった
吐いてしまった
ひどいめまいがした
もし、このようになったらどう考えますか?
おそらくほとんどの人は、
合わない漢方薬を内服したため副作用が出た、と考えると思います。
でも・・・・・、
実はその漢方薬が体に合う漢方薬であることもあるのです。
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■瞑眩(めんげん)とは
今回は
「瞑眩(めんげん)」という現象のお話です。
副作用と言わざるを得ない前述のような現象が起きた場合、本当に副作用であることはもちろんあります。
でも、体に合う漢方薬でも一時的に副作用の様な症状が出ることもあるのです。
これを瞑眩といい、簡単にいうと次のようになります。
「ある漢方薬の内服を続ければ主症状は改善するのだけれども、内服後早期に副作用と思わせるような反応(副症状)が一時的に出る現象」
これは副作用ではなく、良くなる前に一時的に起こる体の好転反応です。
一時的な反応なので、その期間を我慢すれば消失し、そのまま内服を続ければ主症状が良くなるのです。
■副作用か瞑眩か? 区別は難しい
瞑眩は、漢方診療をたくさんしている医師でもなかなか経験することがない現象です。
その理由は、瞑眩そのものが多くないことと、瞑眩か副作用かの区別が難しいため副作用として処理してしまうことが多いからです。
■副作用か瞑眩の区別が難しい理由
もし御自分が漢方薬を内服後早期に冒頭のような症状が出たら、どう考えますか?
瞑眩の可能性があると主治医から言われても・・・・・
辛い思いをしたので内服を続けることに抵抗があるでしょう。
医師としても、瞑眩の可能性があるからもう少し内服を続けてください、ということはなかなか言えません。
つまり漢方薬内服後に体に不調が出たら、医師が内服継続の指導をすることが難しく、かつ患者さんも内服継続したくないことがほとんどなのです。
そのため、
「内服継続して一時的な不具合の症状が消失しその後主症状が改善する」
という経過を最後まで確認できないのです。
つまり、早期に内服を中止してしまうことがほとんどで、(瞑眩かもしれないけど)副作用として処理してしまうということです。
もし本当に瞑眩なら、内服をやめず継続すれば症状が改善するのですが・・・
■病名処方されたら瞑眩ではなく単に誤診による副作用の可能性
病名処方(以前のコラム参照)された漢方薬は、患者さんの全身状態を詳しく診て処方された漢方薬ではありません。
病名処方された漢方薬内服後に身体の不調が出たら、これは瞑眩ではなく単に誤診処方で身体に合わないため不調が出た、という可能性が高いかもしれません。
つまり、例えば患者さんの体に冷えがあるかないか、体力があるかないか、胃腸が強いかどうか、などの細かいチェックは
ありふれた有名な漢方薬を処方する場合でも必ず必要で、
そこを十分確認しないで病名処方されたら、瞑眩ではなく単に合わないから不調が出る可能性は高まります。
■瞑眩の可能性がある場合どうするか?
もし信頼している医師に処方してもらった漢方薬で、かつ病名処方ではなく丁寧に診察してもらって処方された漢方薬なら・・・
瞑眩であると信じて内服継続しても良いと思いますが、不安な場合は医師から継続するよう言われても中止して良いでしょう。
もし瞑眩なら内服継続で良くなりますが、副作用ならさらに悪化する可能性があり、どちらかは内服継続しないと分かりません。
そのような場合は、瞑眩の可能性があっても最悪な場合の方を想定して選択肢を選んだ方が良いとも言えます。
医師は患者さんの希望を最優先させます。