足がつる!!→芍薬甘草湯の注意点は?
「足がつる・けいれんする」
こんな症状に対し漢方薬の芍薬甘草湯を処方され、内服したことのある人は多いと思います。
当院でも多く処方しますが、
↓
漢方薬なのに・・・すぐ効くよく効く、という感想の方が多いです。
よく効く漢方薬なのですが、注意点があります。
芍薬甘草湯は名前の通り、芍薬と甘草の2種類で作られた漢方薬で、
どちらも痛みをやわらげたりけいれんをやわらげたりする作用があり、即効性があります。
注意するのは、甘草の方です。
多くの漢方薬には甘草が含まれていますが、芍薬甘草湯の中の甘草の量は多いのです。
甘草が体内に多く入りすぎると(芍薬甘草湯を通常通りに内服した場合は問題なし)、
電解質のK(カリウム)濃度が低くなることがあります。
そして、カリウムがかなり低くなると、手足の麻痺症状が出ることがあるのです。
医師の指示通りに内服すればほぼ問題ないですが、芍薬甘草湯の中の甘草の量は多めのため、
足のつりがひどいからといって自己判断で1度に2倍量内服したり、内服回数を多くしたりすると、
→低カリウム血症→手足麻痺→入院 となる可能性が出てくるのです。
身近なもので、甘草は?
一番身近なのは、醤油です。醤油の甘味の正体は、甘草なのです。
そうなると、
醤油が大好きで大量摂取する人が芍薬甘草湯を内服すると→甘草を大量摂取したことになる
→カリウムが少なくなって手足の麻痺症状が出現・・・
ということもあり得ます。
甘草=怖い ということは決してありません。
漢方薬の多くは甘草を含みますが、医師の指示通りに内服していればほぼ問題はありません。
甘草を大量摂取するのが問題なのです。
問題になる例としては、
①芍薬甘草湯のように甘草量が多い漢方薬をを医師の指示以上に内服する。
②漢方薬を何種類も内服する(甘草を含む漢方薬が多いため、たくさんの漢方薬を内服する
と、甘草量も多くなっている可能性があります)。
また、甘草は、漢方薬が効きすぎるのを調節してくれる効果があり、
それが目的で漢方薬に甘草を混ぜていることもよくあります。
例えば、葛根湯に甘草が含まれている理由の1つは、
葛根湯の作用が出すぎないようにするためなのです。
※【葛根湯の作用=頭痛・肩こりを改善させたり、発汗させて風邪を治したりする】